ウィリアム・モリスは1834年にロンドンのウォルサムストーで生まれました。 女性が多い家庭で育ったため、日々の裁縫や庭仕事、飾り付けは、彼にとって身近な事でした。 また、子どもの頃のモリスは、森や庭、花、鳥たちに心惹かれていました。 この幼い頃の経験と中世主義への興味が、彼の芸術や詩の根底にあります。モリス クロニクルズには、1864年から1912年にかけてつくられた、自然を称賛するデザインが収められています。



デザインから探す

アカンサス

アカンサスは、1875年3月に屋号をモリス商会へ変更した際に初めて発表された壁紙です。 アカンサスは、モリスの得意な手法として良く知られるレイヤーを重ねる技法を反映させて、雄大に描かれた渦巻く葉をモチーフにしており、遠近が浅い布地の中でも表情豊かな緑の表現を生み出しています。

ACANTHUS



いちご泥棒

ウィリアム・モリスにより優雅に描かれた苺をついばむツグミのデザインは、1883年から人々の心を魅了してきました。 レッドハウスの庭を訪れる鳥たちに着想を得て自然の優美さを表現したデザインは、インディゴとアカネの染料が用いられたモリス商会の初期の色刷りのテキスタイルとして発表されました。

STRAWBERRY THIEF



ウィロー バウ

モリスが娘のメイと、ケルムスコット・マナーの近くのテムズ川へと繋がる小さな川の岸辺を歩いていた、ある日の午後の情景をもとに描かれたデザイン。 メイはその後、ウィロー バウは「私たちの思い出の柳が精巧に描かれており、ロンドンの人々のリビングを彩る壁紙として広く使われるようになった」と記録しています。

WILLOW BOUGHS



ケルムスコット ツリー

1893年に中世のイギリスの刺繍から着想を得てつくられた、花々の小道や果物であふれた木々の図案を再解釈したデザインです。色彩豊かな鳥やシンプルな花々は、モリスの娘であるメイが父のために刺繍を施した、ケルムスコット・マナーにある彼の寝室のベッドの垂れ布の影響を受けており、名前の由来ともなっています。メイは熟練のアーティストとしても知られていました。

KELMSCOTT TREE



ゴールデン リリー

ゴールデン リリーは、ジョン・ヘンリー・ダールの最も世に知られた壁紙のデザインです。 モリスが亡くなってから三年後につくられたゴールデン リリーは、モリスがデザインしたものと度々間違って認識されることもありました。 当初11色の版木を使って2配色がブロックプリントされたこのデザインは、絡まり合う百合の茎と、巻き付くつるが大胆に描写されており、観るものの目を楽しませます。

GOLDEN LILY



ジャスミン

田舎の花々を観察していたモリスは、壁をつたって上品な香りを放っているジャスミンに魅了され、この総柄のパターンをつくりました。 ジャスミンの歴史はモリスが家族とケルムスコット・マナーに引っ越した1871年に遡り、まさしくその庭の風景に影響されたものでした。

JASMINE



トリプル ネット

シンメトリカルな花とザクロのデザインに、モリスのペルシャ絨毯への賞賛が現れています。 デザインの名前は、組み合わさって網目状に形成されるダイヤモンドの構造に由来しており、プリントテキスタイルの製造方法によって得られたむらのある表面の斑点模様は、このデザインをより表情豊かなものにしています。

TRIPLE NET



ブラザー ラビット

ブレア・ラビットとしても知られるこのデザインは、ウィリアム・モリスの田舎の家の周りの風景を彷彿とさせるような、イギリスの生垣に集まる野生の植物や動物を表現しています。 ジョーエル・チャンドラー・ハリスによって執筆された、「リーマスじいや物語」に登場するいたずら好きなウサギに着想を得たデザインは、モリスのシンメトリカルなプリント柄の中に物語の魅力も添えています。

BROTHER RABBIT



ブラックソーン

ブラックソーンは、モリスのオックスフォードシャー州にある家の周りの生垣や森、牧草地などの自然を観察していた経験が凝縮されたような、複雑なデザインとなっています。 トゲのあるスピノサスモモの木の白い花は、まだ暗い景色が残る早春に、わずかな明かりを灯すように裸木から咲き乱れます。 その他にデイジーやバイモ、すみれも重要なデザインの一部となっています。

BLACKTHORN



フルーツ

フルーツは果実と枝の広がりに特色のあるデザインで、オリーブ、ザクロ、オレンジとレモンが描かれています。 モリスの生涯の友であるエドワード・バーン・ジョーンズはこの原画を絶賛し、ダイニングルームをこの柄のプリントで装飾したと言われています。

FRUIT



ブルック

ブルック(小川)は、1890年にスタンモア・ホールに住んでいた弁護士のウィリアム・ノックス・ダーシーによる重要な仕事の依頼の影響を受けています。 名前に象徴される、森の中の曲がりくねった小川のそばで牧草を食べるファロージカのデザインは、当初はタペストリーとして製造されていました。

THE BROOK



マリー イザベル

マリー イザベルは、1890年代にジョン・ヘンリー・ダールによって手掛けられた刺繍のデザインを改編させたものです。 スコットランドの慈善家、マリー・イザベル・バー・スミスにより刺繍が施されたこのデザインは、渦巻くアカンサスの葉や花々が繊細に描写されています。

MARY ISOBEL



レスター

ジョン・ヘンリー・ダールが1912年にモリス商会のためにデザインしたレスターは、ウィリアム・モリスを象徴するデザインの特色が受け継がれています。 渦巻くアカンサスの葉は流れを構図に生み出し、群生するデイジーや、ツリガネソウ、花びらの縁がフリル状になったカーネーションを取り囲むように描かれています。

LEICESTER



ローズヒップ

ローズヒップはウィリアム・モリス、もしくはウィリアム・ド・モーガンが描いた、セラミックタイルのデザインを継承するデザインになっています。 ウィリアム・ド・モーガンは彼がタイルの事業で独立するまで、モリスと共にステンドグラスのデザインを手掛けていました。 彼の初期のデザインはモリスの影響を強く受けており、ローズヒップは力強く連続して描かれたデザインが特徴となっています。

ROSEHIP



モリス クロニクルズ

詩人としても知られていたウイリアム・モリスは、象徴的で優美な花言葉が収められた昔の物語(クロニクル)や書籍を好んでいました。 彼の身近に豊かに存在していた自然のモチーフと、中世への深い関心、そして美しい物語を紡ぐ能力が織り重なり、彼の原動力となりました。 モリス商会のデザイナー達もまた、40年以上にわたりモリスの工房の庭の自然や動植物を記録し、素晴らしいデザインをつくり続けました。

モリス クロニクルズ

彼の身近に豊かに存在していた自然のモチーフと、中世 への深い関心、そして美しい物語を紡ぐ能力が織り重なり、彼の原動力となりました。 モリス商会のデザイナー達もまた、40年以上にわたりモリスの工房の庭の自然や動植物を記録し、 素晴らしいデザインをつくり続けました。

モリス クロニクルズ

TOPへ